1.エンディングノートについて

60歳以上の方を対象にしたある調査によると、
エンディングノートを知っている人は、65%
エンディングノートを実際に書いている人は、6%
今後書いてみたいという意向を持っている人は、47% だそうです。

まず、エンディングノートとは「最期の覚え書き」と言うもので、自分の人生の記録や、残された人に伝えたい情報を書き記した冊子のことです。

遺言書エンディングノートの違いについて言えば、どちらも残された人に対しての伝達事項が記載されているということでは同じですが、遺言書は(財産分与など)法的効力を持ちますが、エンディングノートは法的効力を持っていません。
その代り、エンディングノートは安価で気軽に自由に作成することができるということが言えます。

エンディングノートを残すメリットとしては、
① 自分に万一のことがあったときも、家族が困らない
 ご本人が亡くなって、「あれは、どこ?」「これはどうしたら?」とご家族がお困りになっているケースをよく伺います。エンディングノートを残しておくことで、ご家族がお困りになる可能性を低くすることができます。

② 日常生活の備忘録としても使える
 お年を召されたせいで物忘れを起こすことがあっても住所録や連絡先などの情報を1箇所にまとめたノートがあると日常生活でも便利です。

③ 家族に対する自分の愛情を伝えることができる
   生前には照れくさくて言えないようなメッセージをエンディングノートに残しておくことで家族の悲しみをいやすことにもなると思います。

2012年に行われた読売新聞の世論調査でも「自分の葬式についての希望は、家族などに口頭で伝えたり、文書で残したりしておくべきだ」と思いますか、そうは思いませんかとの問いに対し、 1.そう思う 67% 2.そうは思わない 32%という回答結果になっており、エンディングノートに対する意識は高まっていると思われます。

 

2.遺言とは

遺言とは、自分が亡くなった後の財産や身分に関する事項を定める行為で、遺言する人が、生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産の帰属を決め、相続を巡る争いを防止しようとすることを主な目的として書き留める遺言者の意思表示のことです。

遺言は、遺言者の死亡によって効力が発行されるもので、法律の定めがあり、書面(遺言書)によらないものは無効になります。

3.どんな人に遺言が必要なのでしょうか

遺言書の作成は相続を迎えたときに相続人間で争いが起こらないようにするためというのが一番の理由です。

特に、次のような場合には遺言を書くことが必要です

(1)相続に関すること

① 法定相続分と異なる割合で遺産を分けるように遺言したいとき
② 兄弟姉妹だけが相続人のとき
③ 内縁関係の方がいらっしゃるとき
④ 法律婚をしていないカップルのとく
⑤ 事業の後継者を決めなければならないとき
⑥ 夫婦が別居状態で事実上破綻しているとき
⑦ 子供のいない夫婦
⑧ 再婚してそれぞれに子供がいる方

(2) 財産に関すること

① 財産(遺産)を寄付したい
② 法定相続人以外の第3者(介護などでお世話になった人等)に遺産をあげたい(遺贈)
③ 法定相続人がいない人

(3) 身分に関すること

① 子の認知
② 未成年者に対する後見人の指定や後見監督人の指定

 

4.遺言はどのようにして書くのか

遺言は、遺言者の真意を確実に実現させる必要があるため、民法で厳格な方式が定められていて、その方式に従わない遺言はすべて無効になります。
録音テープやビデオにとっておいても、それは、遺言としては、法律上の効力がありません。
遺言には、自分で書く「自筆証書遺言」、公証人役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」の主に2種類があります。

 

(1) 自筆証書遺言

遺言者が、紙に、自ら、遺言の内容の全文を書き、かつ、日付、氏名を書いて、署名の下に押印することにより作成する遺言です(すべてを自書しないとだめで、パソコンやタイプライターによるものは無効となります)。

メリットは、
① 遺言者のみで作成できるため、完全に秘密にできる
② わざわざ公証人役場に出向く必要が無い
③ 公正証書遺言のように費用がかからない

自筆証書遺言で注意することは、
① 形式的に不備があったり、内容が不明確であったりすると後で争いのもとになる恐れがある
② その遺言書を発見した者が、必ず、家庭裁判所にこれを持参し、検認手続を経なければならない

 

(2) 公正証書遺言

遺言者が、公証人の面前で遺言の内容を口授し、それに基づいて公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成するものです。

メリットは、
① 原本は公証人役場で保管しているので破棄や改竄の虞がない
② 公証人が本人であることと遺言の内容を確認しているので、後で法定相続人から遺言無効を主張されるケースが少ない

デメリットは、
① 証人立会で作成するため内容を秘密にできない
② わざわざ公証人役場に出向く必要ある(但し出張も可)
③ 費用がかかる

 

公正証書遺言で注意することは、
① 弁護士などに保管を依頼した場合、死亡したことを連絡してくれる人を生前に依頼しておく
② 弁護士などに保管を依頼していない場合は、遺言書の存在、保管場所、どこの公証人役場で何時公正証書遺言を作ったかを信頼できる人に生前に告知しておく
③ 公正証書遺言をするためには、遺言者の真意を確保するため、証人2人の立会いが義務づけられてる。

なお、証人には、未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの者の配偶者及び直系血族さらに公証人の配偶者、4親等以内の親族、書記、及び使用人はなれません。

 

5.遺言書を書かないとどうなるのか

遺言が無いときは、民法が相続人の相続分を定めているので、これに従って遺産を分けることになります(これを「法定相続」といいます)。
遺産の帰属を具体的に決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議(これを「遺産分割協議」と言います)をして決める必要があります。協議がまとまらない場合には、家庭裁判所で、調停又は審判で解決してもらうことになります。

 

6.エンディングノートを公正証書遺言にすることができます

エンディングノートには、法的な拘束力がありませんので、遺産分割について希望などがある場合には、別途、遺言書をつくる必要があります。
ただし、予めエンディングノートを作成して、考えがまとまったら、公証役場に出向いて、公正証書遺言をつくることが可能です。